陰陽五行から生まれた「十干十二支」

陰陽五行

『鬼滅の刃』に見る陰陽五行

2025年7月18日、いよいよ『鬼滅の刃 無限城編』が公開されますね。
忘れもしない2020年公開の『鬼滅の刃 無限列車編』の感動が、今でも甦ります。

実はあまり詳しく知らない状態で子どもに連れていかれたのですが、満員の映画館の中で涙したことを覚えています。
特にラストの、煉獄杏寿郎の亡き母からの言葉…母親の立場から激しく共感してしまいました。

そしてufotableのアニメーション技術の卓越さに舌を巻いたものです。
さすがは”クールジャパン”、世界に誇る日本のアニメーションですね!
もちろん原作の素晴らしさは言わずもがな、すぐに漫画本を全巻「大人買い」したものでした。

さて、実はこの『鬼滅の刃』にも陰陽五行に関わる言葉が出てくるのです。
5年前に調べた人も多いと思いますが、以下にご紹介していきますね。

鬼殺隊の階級=「十干」

多くの方がご存じかと思いますが、「鬼殺隊」には階級があり、最上位が「甲(きのと)」ですね。

前回のブログで触れた「五行」=「木火土金水」を、それぞれ「陽」=「兄(え)」と「陰」=「弟(と)」に分けていくと、5×2=10になります。これが「十干」です。

ちなみに()+()で、子・丑・寅・卯…の十二支を表す「えと」になります。

十干音読み訓読み意味
コウきのえ
(木の兄)
樹木
オツきのと
(木の弟)
草花
ヘイひのえ
(火の兄)
太陽
テイひのと
(火の弟)
ロウソクの灯
つちのえ
(土の兄)
つちのと
(土の弟)
田園
コウかのえ
(金の兄)
剣・斧
シンかのと
(金の弟)
貴金属・宝石
ジンみずのえ
(水の兄)
海・大河
みずのと
(水の弟)

この順番を覚えられない、という方も、「木火土金水(もっかどこんすい)」の順を覚えられれば、それを「兄(え)」「弟(と)」にふりわけていけばいいですね。

『鬼滅の刃』の鬼殺隊も、一番下の「癸(みずのと)」から始まって、『柱』9名が属する「甲(きのえ)」になることを目指していくわけです。

次に、私たちの生活の中にもある十干について見ていきましょう。

歴史・文化に見る十干

さて、十干と十二支の組み合わせについてはご存じでしょうか。
10と12で60通りの組み合わせができますね。
自分が生まれた年の十干十二支が、60歳になると同じ組み合わせが戻って来るので「還暦」というわけです。

2025年は巳年で、「乙巳(きのとみ)」に当たります。
今年生まれたお子さんが60歳になった年に、また「乙巳」になります。

歴史的出来事の名称に注目

この十干十二支の組み合わせで、歴史上有名な出来事をいくつか挙げてみましょう。

庚午年籍(こうごねんじゃく)(670年)わが国最古の戸籍が作成された年が庚午(かのえうま)

壬申の乱(じんしんのらん)(672年)大友皇子と大海人皇子の間で起こった皇位継承争い。壬申(みずのえさる)

戊辰戦争(ぼしんせんそう)(1868年~1869年)明治新政府と旧幕府勢力の間で繰り広げられた内戦。戊辰 (つちのえたつ)

甲子園球場の「甲子(きのえね)」も十干十二支ですね。

「丙午(ひのえうま)」の迷信は、ある女性に由来していた!

丙午(ひのえうま)」生まれの女性は気性が激しく、夫の命を縮めるという迷信があります。
これは、江戸時代の初期の「丙午の年には火災が多い」という迷信が、八百屋お七が丙午の生まれであることから、女性の結婚に関する迷信に変化して広まってしまったようです。

恋人に会いたい一心で放火をし、江戸の町を火の海にしたという罪で火あぶりの刑に処せられた八百屋お七。
この劇的な出来事は、その後1686年に井原西鶴の『好色五代女』に取り上げられ、歌舞伎や人形浄瑠璃、浮世絵の題材になっていきます。

八百屋お七生誕後60年ごとに生まれる女性たちにとっては、この迷信は本当に迷惑だったと思います。
今年59歳になる方々が該当しますが、私の知人は「丙午に出産することを避けた人が多く、出生数が減ったおかげで受験が楽だったよ」と笑っていました。

そんな風に笑い飛ばせるといいのですが、からかわれたりいじられたりして、嫌な思いをされた女性が多かったのではないかと勝手に心配しています。
本人に非がないことで、不愉快な思いをすることがあってはならないですから。

「庚申信仰」とは

調べてみると、私は「木火土金水」のうち、「金」の年の生まれでした。
(皆さんもぜひご自分の生まれ年を調べてみてください!https://www.n-p-s.net/eto.html

「金」に当たるのは「庚」と「辛」ですが、「庚」といえば、京都には八坂庚申堂という小さなお堂がありますね。庚申=かのえさる

「くくり猿」のカラフルな写真がSNSで大人気になり、何度も京都を訪れている私も数年前に初めて行ってみました。

庚申とは干支(えと) 即ち、庚(かのえ)申(さる)の日を意味し、この夜に人間の体の中にいる三尸の虫が、寝ている間に体から脱け出して、天帝にその人間の行った悪行を告げ口に行く。天帝は寿命を司る神であるから、悪いことをした人に罰として寿命を縮める。ところが、三尸の虫は、人間が寝ている間にしか体から脱け出ることができないので、庚申日は、徹夜をする、これを庚申待ちという。(八坂庚申堂 ホームページより)http://www.yasakakousinndou.sakura.ne.jp/

「庚申待ち」は古代中国の道教思想に影響を受け、日本では平安時代に始まりました。
『枕草子』には、清少納言が中宮定子や貴族たちと徹夜で庚申待ちをするために、さまざまな遊びをする場面が出てきます。

『源氏物語』第50帖「東屋(あずまや)」にも登場するということで、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の第12回「思いの果て」には、まひるが庚申待ちをする姿がありました。

庚申信仰は江戸時代まで続きましたが、明治時代には「迷信」として扱われ、廃れてしまったとのこと。
それでもこの八坂庚申堂では、60日に一度巡ってくる「庚申日」には多くの参詣者でにぎわうそうです。

ちなみに次回の庚申日は2025年8月19日です!

SNSで多くの若者がカラフルな「くくり猿」が下がる様子を発信し、大人気になった八坂庚申堂。
境内に入ると「写真を撮る前に、きちんとお参りしてください」という張り紙がありました。
私もしっかりお参りをさせていただいたことをここにご報告いたします。

陰陽五行は身近なもの

いかがでしたか?
普段何気なく目にしている暦や歴史上の出来事などに、古代中国の陰陽五行に由来するものが少なからずありますね。

授業で漢文や古典を教えるたびに、私はその奥深さと崇高さを感じてきました。
科学では証明されない、もしかしたら現代ではあまり重要視されないことがらかもしれません。

それでも、情報化や環境破壊の進む現代社会において、私たちは何かここから学ぶことや、癒しのヒントを得られる可能性があるのではないか。そんな思いでこのブログを書いています。

ほんの少し、お時間を取って読んでいただけると嬉しいです。
これからは風水やアロマセラピーなど、生活の中で取り入れてほしい癒しのアイテムなどをご紹介できたらと思います。

癒庵

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